日本へ来たウクライナ人
13 現在、日本にいて困っていることはあるのか。(現在の日本の生活において、不足している支援や必要とする支援は何か)(1)生活必要備品はそろっている。(2)日本財団からの現金支給(1年間一人100万円)があるとして、日本人の生活保護費(単身者であれば1ヶ月あたり10万円~13万円の現金支給)に近い。(3) 日本語の読み書きができないために、各種通知が理解できない。(4) 収入面での将来不安が大きい。将来設計が明確に立てられない状況をサポートする必要がある。14 日本に来たことで浮上した文化や民族性の違いによる齟齬(食い違い)(1)最大の悩みは、日本のパンは全て柔らかい菓子パンであること。ウクライナのパンは固い。チーズ、野菜、ハムなどの乗せて食べるのが一般的。(2)日本はカードを使えない。ウクライナはスマホで支払える。現金は不要。(3)道路が右左反対。(4)バス、地下鉄、JRなど全てが距離によって値段が上がる。ウクライナは市内ならどこまでいっても同じ値段。(5) 野菜や果物が高すぎる。ウクライナはパック売りではなく、量り売り。小さなジャガイモはどこへ行った?戦争と情報15 銃や爆弾に遭遇したことはあるか。(1)2月24日からの1週間で、キエフとその近郊でミサイルが何発か落ちた。しかし、実弾やミサイルが目の前に飛んできたことはない。16 ウクライナに残っている人達は逃げずに戦うと決めたからいるのか、逃げ切れなかったのか。(1) 戦うと決めた人、様々な事情から残ることを決めた人、国内の疎開を決めた人など様々な人がいる。移動手段(鉄道、自動車、バスなど)がないと、逃げることは難しくなる。鉄道は3月1日から無料となったが、ダイヤは乱れ本数が少なくなった。また、駅は大変な混雑であった。17 今、戦争に対してどう考えているのか。(1) 戦争は、政治家が起こすもの。国民は何も知らないうちに始まるものだと思った。(2) 決してロシアを許すことはできない。こういった思いは、日本に対する韓国人や中国人の思いも同じであろうと思う。18 なぜ戦争が始まったのか、具体的に知りたい(1) 【私見であるが】歴史的にロシアは、ウクライナに投資してきた。南部港湾都市オデーサ、クリミア半島の軍港セバストポリなどは日本の江戸時代から整備されてきた。ソ連時代には、東部(ドネツク、ルガンスク)は重化学工業地帯として発展。核ミサイル製造の拠点ともなっていた。これらの地域は、いわばお金の塊りのようなものである。プーチンは、この地域を支配することにより、大きな利権を手に入れようとしている。19 周りの人で、どのくらいの人が軍人として派遣され亡くなっているのか。(1) 男性8人、女性1人が入隊している。亡くなったという情報は入っていない。戦地では位置情報をつかまれないために、スマホは使用しない。時折り交代で帰って来た時に、Skypeなどで連絡をくれて無事が確認できる。20 ニュース等で流れてくる情報と現実に起きていることで、どれくらいの情報のギャップがあるのか。(1)破壊された建物が映し出されると、あたかも町全体が破壊されたようにイメージする。が、実際には通りの一部であったりする場合が多い。メディアは、被害が大きい場所を選び出して放映している。(2)ロシアはプロバガンダをしているとか、ロシア国民は政府に言論を統制されて戦争に反対できないとされているが、必ずしもそうではない。生粋のロシア人は本当に戦争に賛成しており、プーチンを支持している。プーチンの後には、プーチンがいる。21 ウクライナの親世代は旧ソ連人だが、ロシアに対してどのような気持ちを持っているのか。(1) 親ウクライナは旧ソ連の構成国の一つであったが、旧ソ連はウクライナを下に見ていると感じてきたし、ロシアになってからもその意識に変化がないと感じている。(2) 親世代が旧ソ連人どころか、現ロシアとウクライナとで親子、兄弟、親戚が別れて住んでいる人は珍しくない。現在その多くは家族・親戚の縁を切っている。※モスクワ、サンクトペテルブルクなどの先進地域ロシア人は、シベリアなどに住む少数民族、あるいはベラルーシ、ウクライナ、カザフスタン等々の国を下に見る傾向は強いという。※下図は、ソ連時代の絵である。ウクライナ人がこのような絵を見ると、中央に立つモスクワ人だけがスマートにワイシャツを来て、他は民族衣装を着せられていると感じるという。
※旧ソ連は、第二次世界大戦で2000万人以上もの犠牲を払ってファシスト(ドイツ)と戦った。ロシア人にとって、ファシストは地上にあってはならない存在である。プーチンは、ウクライナ人をファシストと呼ぶことにより、ウクライナ侵攻を正当化している。
【21番の回答については、多くのウクライナ人からの声を集約している】
寄付と支援
22 寄付された物資やお金は、実際にウクライナの方々に届いているのか。
(1) 組織によると思う。組織上部で抜かれたり、人件費などで使われたりすることもあるから、必要な人に届いているかは不明。届いたというニュースは聞いていない。
23 どこに寄付すれば一番効果があるのか。
(1) 何を、どこへ、だれに寄付するかについて、具体的かつ明確となっている組織、個人に寄付するのがいい。英語のサイトならば、薬の名前が一覧してあるサイトもある。ただし、どの武器に寄付するかというサイトまであるので注意。
24 支援した物やお金は武器などにまわっているのか。ウクライナの方々に届いているのか。
(1) 物資は、ウクライナ国内の避難民センターに送られ、避難民に配給される。お金については、使途や会計などの報告がないので、実態は分からない。英語表記により、様々な支援サイトがある。その中には、武器の購入を指定する寄付、薬品名を指定して寄付といった支援サイトが見られる。
25 ロシアから輸入してきたもので供給がなくなり困っていることはありますか?
(1)2014年に起きた政変を境に、プーチンの命令によってロシアからの輸入は途絶えた。ウクライナからの輸出もなくなり、両国の経済関係はなくなった。
※ウクライナでは、2014年に親ロ派のヤヌコヴィッチ大統領に退陣を迫る大ストライキが起きた。ストライキは銃撃戦へと発展し、大統領はロシアに逃れた。政治混乱の隙に、プーチンはクリミアを併合。ウクライナ東部では親ロ派の武力支配が始まり、ウクライナ軍との紛争が続いてきた。
26 ウクライナにいる間で、一番役立った支援は何か。
(1)侵攻当初であったので、キエフに支援は来ていなかった。
ウクライナ政府と国民
27 ウクライナ政府から国民に対する支援はあったのか。
(1)激戦地区のドンバスから逃れてきた人に対して、政府から2220グリブナ(約8000円)が支払われた。また、個人事業主に対しては8000グリブナ(約2万8000円)が支払われた。
(2)自宅を破壊されて人に対して、EUと共同して仮設住宅が設置された。
28 ゼレンスキー大統領をウクライナの方々はどう思っているのか。(ロシアと戦争を始めるという決意に国民は賛成していたのか)
(1) 戦争を始める決意をしたのは、プーチンである。ウクライナは備えてはいたもののロシアと戦争する気持ちなどなかった。ロシアの侵攻に対して立ち上がったのは、国民もゼレンスキー大統領も同じ気持ちからで、力を合わせてウクライナを守ろうとしている。ゼレンスキーは、選挙によって選ばれた大統領であるが、当選後に支持率を上げていたわけではない。侵攻が国民とゼレンスキーを一体化させた。
29 よくニュースで「ウクライナに留まり自国のために戦います」というコメントをみるが、家族と離れてしまうし、命の危機もあるのに、どうしてそれほど強い意志が持てるのか。(男性はウクライナに残り、戦わなければならないという義務があるのか)
(1) 原則として18才以上、60才以下の男子は、国外に出ることはできない。原則から除外されるのは、大学生、持病がある、子供が3人以上いるなどの男性である。
(2)勝手に人の庭に入って来たり、家に上がって来たり、ましてや人を殺していくわけで、そんな相手を命をかけて追い出すのは当然だと思う。ウクライナは民主主義の国で、言論の自由も表現の自由も保証されている。そのような国がロシアという他国に支配され、統制されることなど受け入れることはできない。21世紀になって、植民地同然の扱いを受けるわけにはいかない。ウクライナ人は、ロシアとの戦争に命を懸ける価値があると考えている。
30 政府の考えと国民の考えの違い ※類似回答あり
(1)侵攻後、国民がウクライナを守ろうとした。侵攻前、ゼレンスキー大統領に特に人気があったわけではなかった。しかし、彼は国民の気持ちをよく汲み、国民の先頭に立ち戦う意志を示した。したがって、今は国民と政府が一体となってロシアと戦っている。
(2) 戦争が終わってからは、ロシアに勝っても、国民がゼレンスキーを支持するかは分からない。
31 戦争が終わったら、もう一度ウクライナに戻るのか。戻ることができたら、まず最初に何がしたいか。
(1) 元のウクライナのようであれば、ウクライナに戻りたいと思っている。ロシアが支配しているようであれば、考える。
(2) ウクライナに戻ったら、理想的ではあるが、まずどんなビジネスが必要か調査する。ウクライナの人に仕事を提供したい。
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